【リアル半沢直樹?】銀行の派閥争いについて元銀行員が解説

銀行の噂
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「出向を命ずる!」

大人気ドラマ『半沢直樹』にあったワンシーン。

ドラマ内では、銀行特有の派閥争いが、醜く、それでいてリアルに描写されていました。

世間のイメージ的にも、銀行は派閥争いが絶えないといったイメージをお持ちの方は少なくないのではないでしょうか?

ではリアルな銀行の世界では実際どうだったのか。

今回は、そんな銀行の舞台裏について元銀行員が解説します。

派閥の原因は銀行同士の合併

そもそも銀行における派閥とはどのようなものでしょうか?

それは、銀行同士が合併してできた新しい銀行において、出身銀行を母体とした派閥です。

こんな事を言うと怒られそうですが、公立の中学校においてA小学校出身とB小学校出身で派閥がある、みたいなイメージです。

半沢直樹の劇中で登場した東京中央銀行も、合併の末誕生した銀行です。

東京中央銀行 = 産業中央銀行 + 東京第一銀行

実は現実世界の多くの銀行も、昔に複数の銀行同士が合併して今の銀行になっています。

有名どころだと、次のようなものがあります。

(わかりやすいところを拾っているので、少し前の合併です)

みずほ = 第一勧銀 + 富士 + 日本興業
三菱東京UFJ = 三菱東京 + UFJ
三井住友 = さくら(前身は三井) + 住友

3メガバンクの前身銀行も、それぞれ複数の合併をしてできた銀行だったりします。

そして当然、日本には3メガバンク以外にもたくさんの銀行が存在します。

ですが、ほぼすべての銀行が過去に合併を繰り返し、今の姿になっています。

↓この方のツイッターなどは端的にまとまっていて見やすいです

銀行はなぜ合併が多いのか?

もともとはバブル崩壊が大きな原因となっていました。

いわゆるバブル時代、不動産の値段が実体経済以上に跳ね上がっていました。

しかし、とあるきっかけで不動産価格が暴落してしまったのです。

これは銀行経営にも莫大な影響をもたらしました。

景気が急激に悪化したため、企業は銀行に借りていたお金を返すことができなくなりました。

そうすると、銀行の経営も引きずられるように悪化していきます。

これに耐えきれなくなった銀行は、合併を繰り返すことでなんとか食いつないできたのです。

近年でも、マイナス金利の影響やフィンテックなどの外的要因で経営が怪しくなった銀行たちは、合併という選択肢を取ることが多くなってきています。

現在でも残る派閥意識

さて、少し話がそれたので本題に戻りましょう。

ここまでで、銀行が合併を繰り返してきたこと、出身銀行によって派閥が生まれてしまったことをお話しました。

では実際に、いわゆる「派閥争い」というものは現在でも残っているのでしょうか?

答えは、YESです。

みずほ銀行のシステム障害は派閥争いの典型例

これの最たる例が、みずほ銀行だと言われています。

みずほ銀行は、過去何度かシステム障害を起こし炎上していました。

一部有識者は、システム障害の原因は派閥意識に起因すると説明しています。

先にも紹介したとおり、みずほ銀行は、第一勧銀・富士銀行・日本興業銀行という、当時日本を代表する3つの大きな銀行同士が合併してできています。

そして銀行には、それぞれの出身銀行を母体とした3つの派閥があり、それぞれの派閥が力を持っていました。

みずほが新しいシステムを構築することになったときにも、3つの派閥は厳しく対立していたそうです。

その結果、通常であれば「基幹システムは一社のベンダーがすべての責任を持って作り上げる」というものですが、

・旧第一勧銀と仲の良い「富士通」
・旧富士銀と仲の良い「IBM」
・日本興業銀行と仲の良い「日立」
・実績抜群・なぜか参入した「NTTデータ」

と、なぜか4社も開発に参加しています。

本来1社に一任すべきですが、派閥争い激しい当時のみずほでは1社に決めることができなかったのではと言われています。

このように、派閥争いによって正常な意思決定ができずに、致命的なシステム障害につながってしまいました。

他の銀行でも派閥の影響が・・・

もちろん派閥の影響はみずほ銀行に限りません。

三菱UFJ銀行の取締役は、その半数が三菱銀行出身者にすることと決まっているそうです。

また、三井住友銀行はほとんどを住友銀行出身者がしめていて、この比率が変わることはないのだそうです。

三菱や三井住友などは、力の大きい銀行が力の小さい銀行を吸収するような形で合併したため、力の大きい銀行出身の派閥が、行内においても大きな権力を持っているようです。

ちなみに以前私が勤務していた支店でも、支店長が「あいつは旧〇〇系の人間だから」と言っていたり、「☓☓(銀行の系列会社)は俺の出身銀行の系列だから仕事を回そう」という発言がありました。

あとは、複数ある関連会社のうち、明らかに支店長が案件を振らない会社があって、調べてみると支店長の出身銀行ではない方の銀行系列の会社だった、なんてこともありました。

こんな感じで、派閥争いとまでは行かなくても、派閥による影響というのは間違いなく存在します。

最近の行員の派閥意識は薄い

色々書きましたが、最近はだいぶ派閥意識も薄まってきていると言われています。

なぜなら、合併後に入行した行員が増えてきているからです。

今後も時代が進めば、派閥意識を持った人間がどんどん退職していき、いずれは派閥というものが関係なくなってくるかも知れません。

また新たに合併が起きればその限りではありませんが、、。

ただ個人的な見解としては、私を含むいわゆる最近の若者と呼ばれる人たちはそういった意識がうすそうなので、昭和〜平成初期に入行した人よりも、派閥に対する興味がなくなるんじゃないかなと思ってます。

この記事のまとめ

  • 銀行には、合併前の出身銀行を母体とした派閥がある
  • 現在でも派閥意識というのは残っていて、致命的な悪影響を及ぼすことも
  • 今後は派閥の影響がだんだんなくなっていくかも

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